大判フィルムカメラの最高峰のブランドとして知られるリンホフはマスターテヒニカをはじめとするフィールドカメラのテヒニカシリーズが有名ですが、スタジオ用のビューカメラも創り出していました。
そのひとつが、Linhof Kardan Master TLです。
Linhof Kardan Master TLの最大の特徴は、世界で初めて完全な画軸支点スイング/ティルトを実現したカメラであるということです。
この画軸支点スイング/ティルトは、画軸支点あおりとも呼ばれ、ティルトの軸およびスイングの軸がフィルムの中心と一致するようになっているため、あおりを使用してもピントのズレや構図のズレがないという画期的なあおり機能です。
この画軸支点あおり機能を搭載しているカメラは当時ではこのカメラしか存在しておらず、その後も、ホースマンから発表されたホースマンLシリーズなど、ごく限られたカメラでしか実現されていません。
また、Kardan Master TLは、使用するフィルムサイズを4×5in判、5×7in判、8×10in判と様々なサイズに変更することができる柔軟性も特筆すべき点です。
リンホフのビューカメラとして一世を風靡したカルダンマスターシリーズの原点ともいうべきLinhof Kardan Master TLは、スタジオ用プロ向けのカメラであるため価格も非常に高価でした。
そのため現在の中古市場でもあまり流通しておらず非常に希少なカメラとなっています。