ART-PANORAMA-240は1978年に発売された富山製作所というメーカーのパノラマカメラです。
同社がカメラ製品に参入した際の最初期のモデルとなっており、以降発売されたART-PANORAMAシリーズの土台になった機種です。
カメラの構造自体は後に発売されたART-PANORAMA-170とほぼ同じです。
ただ、大きく違うのはその外見で、ART-PANORAMA-170は35mm判フィルムを使うカメラとそれほど大きく見た目が違うものではありませんでしたが、ART-PANORAMA-240は横長のボディが目立つデザインとなっています。
というのも、ART-PANORAMA-170は6×17というサイズのパノラマ写真が撮影できるカメラであるのに対して、ART-PANORAMA-240はより横長の6×24というサイズのパノラマ写真が撮影できるようになっているためです。
レンズボードもART-PANORAMA-170では超広角の90mmレンズが推奨されていましたが、ART-PANORAMA-240では105mmから120mmのレンズが推奨され、しかも120mmレンズを使うことがほとんどであり、海外の老舗カメラメーカー、リンホフのレンズボードを使って交換することが可能だったのも170と共有の仕様になっています。
フィルム自体は中判の120フィルムを使うほか、ピント合わせもヘリコイドではなく蛇腹で、ノブで調整して合わせるなど、後に発売されるART-PANORAMA-170の原型となるカメラとなっています。
ART-PANORAMAシリーズとしては、ART-PANORAMA-240よりも後に発売されるART-PANORAMA-170の方が有名になり、どちらも希少価値の高いカメラではありますが、ART-PANORAMA-240の方が中古ではより見かけることのないカメラです。
いずれにせよ、中判フィルムを使って本物のパノラマ写真が撮れるカメラは、現在では見当たらない存在だけに、コレクターズアイテムとしても珍重されるカメラです。