ART-PANORAMA-170は1980年に富山製作所というメーカーが製造していたパノラマカメラです。
見た目は一眼レフカメラやレンジファインダーカメラに見えますが、35mm判フィルムを使わず、120フィルムと呼ばれる中判フィルムを使用するカメラです。
中判フィルムを使用しますが、6×4.5や6×6のような現在でもよく使われるサイズで撮影するわけではなく、6×17判という特殊なサイズで、パノラマ撮影ができるカメラなのです。
120フィルムを使う場合は、6×4.5で16枚撮れるものが、6×17だと4枚しか撮れなくなります。
現在ではすでに製造中止になっており、新品の販売はされていませんが、当時販売される際には本体のみを販売し、ユーザーは手持ちの超広角タイプの90mmレンズを持ち込んでレンズボードを作成し、フランジバックを調整してもらうという工程を踏む必要があるカメラでした。
カタログスペックでは75mmから120mmまでのレンズに対応しているとされていましたが、推奨レンズは90mmだったようです。
このカメラはピント調節をヘリコイドで行う一般的なタイプではなく、レンズボードに蛇腹が付いているタイプで、装備されているノブで蛇腹を繰り出してピント調節を行う仕組みでした。
レンズボードは蛇腹が完全に畳まれた状態で無限遠が出るように調整されていました。
これまでもパノラマ撮影ができるカメラは数多く登場してきましたが、ART-PANORAMA-170については疑似パノラマではなく、中判フィルムを使った本物のパノラマ撮影をすることができます。
そもそも6×17判で撮影できるカメラが少ないこともあって、こうした小さなメーカーが作ったカメラでも珍重されるので中古価格は高騰しています。