Tanack TYPE-V3は1958年12月に発売された田中光学のレンジファインダーカメラです。
田中光学というメーカーに聞き覚えのある人は少ないと思いますが、1950年代のわずかな期間にライカコピーのレンジファインダーカメラを開発し、製造していた会社です。
Tanack TYPE-V3はその最後期に製造されたカメラになります。
フィルムは35mm判のフィルムを使っているので、筐体はコンパクトでライカを彷彿とさせるデザインとなっています。
2世代前にあたるTanack IVSによく似たデザインになっていますが、メーカーでは完全に再設計されたものとコメントしています。
ファインダーは左側にオフセットされて装備されており、倍率は1.0倍で距離計も付いているタイプです。
アルバダ式フレームは入っていますが、パララックスが自動補正される機能は省略され、修正マークのみになっています。
Tanackシリーズで初めて専用のバヨネットマウントを採用したモデルですが、このマウントに適合したレンズは発売されることがなく、生産された全数がライカマウントアダプターを介してライカマウントレンズを装着して販売されています。
フィルムの装填は蝶番で接続された裏蓋を開けるタイプに戻され、簡単にフィルム装填ができるようになりました。
裏蓋には露光計算機が付いており、手動ですが、露光計算が簡単にできるようになっていました。
1959年末から発売されて以降、総生産台数はわずか1500台程度に留まり、V3の後継機もすでに開発され、実機も用意されていましたが、そこで会社が倒産してしまい、V3の生産がストップしただけでなく後継機も発表されることなく、そのままわずかな数が市場に出回ったという不運な末路をたどったカメラです。