2000年にリコーから発表された、RICOH GR21はコンパクトフィルムカメラの最高峰として知られているRICOH GR1を改良し、世界で初めて、21mmという超広角レンズを搭載したコンパクトフィルムカメラです。
その最大の特徴が上記の、世界で初めてコンパクトカメラに搭載された6群9枚構成のGRレンズ21mm F3.5で、その描写力はGR1に搭載されていた銘玉と呼ばれる4群7枚構成のGRレンズ28mm F2.8に勝るとも劣らない高い描写力を備えています。
当時、超広角レンズ用のファインダーは設計が難しい上に、コンパクトカメラの小さなサイズにはスペース的な制約も大きく組み込むことが非常に困難でした。
そのため、コンパクトカメラでは21mmという超広角レンズが搭載されることはありませんでしたが、リコーは複雑な曲面を持たせた非球面レンズを用いた高度な光学系の開発によってこれを克服しました。
軽くてコンパクトな本体に、高い描写力と21mmという非常に広い画角を併せ持ったRICOH GR21は、発表されてから半年後に傑作と評されたRICOH GRVが発表されたため、あまり目立っていませんが、それまでの半年間、プロをはじめ多くの写真家から高い評価を受け、爆発的な人気を集めた隠れた名機として今もなお、その名を残しています。