1987年に発表されたPanon Widelux Model 1500 Super Wide Angle Cameraは、日本にかつて存在したパノラマカメラ専門のカメラメーカーであるパノンカメラ商工が開発した120フィルムを使用するスイング式と呼ばれるパノラマカメラです。
パノンカメラ商工はパノラマカメラに特化しており、1952年よりさまざまなパノラマカメラを発表してきましたが、同社の120フィルムを使うカメラの最後のモデルとなったのが、このPanon Widelux Model 1500です。
その特徴は、合成をすることなくパノラマ写真を撮影することができるスイング式と呼ばれる首振り機構で、世界的に見てもこの機構を搭載しているカメラは数えるほどしか存在しない珍しいものです。
首振り機構によって水平方向で140度という、35mmフルサイズ換算で焦点距離約6.5mmに匹敵する非常に広い画角でパノラマ写真を撮影することができます。
そして、その広大な画角で写し出される描写は120フィルムの高画質とも相まって鮮明かつ繊細な写りで定評があります。
写真をつなぎ合わせた合成のパノラマではなく、本物のパノラマ写真を撮影することが可能なPanon Widelux Model 1500は、唯一無二のスイング式パノラマカメラとして、今でも多くの写真家に愛されています。
残念ながらパノンカメラ商工は、2005年に廃業してしまいましたが、その独特でほかのカメラとは一線を画す製品は中古市場をはじめ、さまざまな場所で脈々と受け継がれています。