【使用レビュー】Leica MP × Leica IIIg で体感した、フィルムカメラの”一枚の重み”

Shot on Leica IIIg · Elmar 3.5cm f/3.5 — the architecture, rendered with depth.
こんにちは、nemiです。
今回は、Leica MPとLeica DBP IIIg、二台のフィルムカメラを使用したレビューをお届けします。
デジタルカメラに慣れていると、写真は「その場で確認できるもの」になっていきます。撮って、見て、整えて、もう一枚撮る。その流れは合理的で、失敗も減らせます。
けれど、フィルムカメラを手にすると、その前提が少し変わりました。いま何が写ったのか、その場ではわからない。シャッターを切った瞬間に終わるのではなく、むしろそこから何日か、自分の中でその一枚が続いていく感覚がありました。
不便といえば、不便です。でも、その不便さの中にしかない楽しさがありました。
① Leica MP レビュー|ファインダーがある安心感と、やわらかな写り

最初に使ったのはLeica MPです。ファインダーを覗きながらフレーミングができ、フィルムの巻き上げもレバーで行えます。普段デジタルカメラを使っている私にとって、そのことが思っていた以上に大きな安心感になりました。
Leica MP の撮影手順
レバー操作で直感的に行えます。一連の流れがちゃんと手の中に収まる感覚がありました。
フィルムのISO感度も考慮しながら調整します。絞りやシャッタースピードの操作がしやすいのも特徴です。
四角形の中に写った二重像のズレがなくなるよう調節します。ピント合わせの感覚がつかみやすく、写真そのものを楽しむ余白が残ります。
ピントが合ったらシャッターを押します。画角を見失いにくく、撮ることに集中しやすい一台です。

▲Leica MP / SUMMARON 35mm — シャドウが深く沈みすぎず、黒の中にもやわらかな階調が残っていた。
実際に上がってきた写真を見ると、シャドウが深く沈みすぎず、黒の中にもやわらかな階調が残っていました。モノクロなのに硬すぎず、光と影のあいだに少し呼吸があるように感じました。輪郭を強く立てすぎず、それでもちゃんと表情がある。そういう写りでした。
② フィルムの失敗は失敗で終わらない|知らない景色が重なった一枚

▲Leica MP — unintended double exposure — フィルムの管理しきれなさの中から、思いがけず残った一枚。
今回の撮影では、あらかじめ入っていたフィルムがすでに何枚か撮影されていたにもかかわらず、カウンターがリセットされていました。そのことに気づかないまま撮影を進め、現像された写真を見たとき、知らない景色や像が重なって写っていて驚きました。
普通なら失敗です。管理不足と言われれば、その通りだと思います。でも、その重なった写真を見たとき、不思議と「これはこれでいい」と思ってしまいました。狙ったわけではないのに、まるで多重露光のようで、整えられた写真とは違う面白さがあったからです。
フィルムには、こういうことが起こります。きちんと管理しなければいけないのに、ときどき、その管理しきれなさの中から、思いがけず心に残る一枚が出てくる。(今後はフィルムの管理をきちんと行っていきたいです、、。)
③ Leica IIIg レビュー|手間がかかるのに、満足感が高い理由

▲Leica DBP IIIg · Elmar 3.5cm 1:3.5
もう一台のLeica DBP IIIgは、MPとはまったく違うテンポを持っていました。ファインダーがなく、フィルムの巻き上げもダイアルを回して行います。画角やピントも、かなり感覚に頼ることになります。一枚撮るまでに、思っていた以上に集中力を使いました。
Leica IIIg の撮影手順
ダイアルを回して行います。操作に慣れるまで、デジタルに慣れた身体にはとても遅く感じられました。
MPと同様、フィルムのISO感度も考慮しながら調整します。
ファインダーがないため、いまどこまで合っているのか、その場で確信を持ちにくい。自分の感覚を頼りに、巻き上げて、整えて、構えて、切る。その遅さが、だんだんと心地よくなってきました。
便利ではありません。でも、その手間がただの不便では終わらず、写真の価値そのものに変わっていく感覚がありました。
④ Leica IIIg の写り|光と影が”立っている”ように見えた

▲Plate III. — crosswalk, shadow, afternoon light.
▲Plate IV. — signs against an empty sky.
現像されたIIIgの写真を見たとき、Leica MPよりも少しコントラストが強く、光と影の形がよりはっきりしているように感じました。被写体がただ写っているというより、画面の中で少し前に出てくるような立体感がありました。
使い勝手だけでいえば、間違いなくMPのほうが安心感があります。それでも、最終的な満足感はIIIgのほうが大きかったのです。撮影の途中では不安のほうが大きかったのに、上がってきた写真を見ると、その不安を含めた時間がそのまま写っていたように感じました。
⑤ フィルムカメラの魅力とは|結果より”撮るまでの時間”が残ること
フィルムの世界へ入るためのやわらかな入口があります。ファインダーを覗きながら、自分の感覚を大きく崩さずに、一枚と向き合うことができる。安心感があるぶん、写真そのものに目を向けやすい一台でした。
こちらの都合ではなく、機械の流れに合わせることを求めてきます。そのぶん、一枚を切るまでの時間が長く、濃くなります。その手間がただの不便では終わらず、写真の価値そのものに変わっていく感覚がありました。
巻き上げる。露出を考える。合わせる。迷う。切る。待つ。現像が上がる。見る。この一連の流れの中で、時間の進み方そのものが少し変わります。急いでいたはずなのに、気づくと立ち止まっている。フィルムカメラは、そういう時間をこちらに返してくれる道具なのかもしれません。
もしフィルムカメラに興味はあるけれど、「難しそう」「不便そう」と感じている方がいるなら、その感覚はたぶん間違っていないと思います。実際、不便です。でも、その不便さの中にしかないものがあります。フィルムカメラは、きれいな写真を残すためだけの道具ではないのだと思います。
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