第二次世界大戦の結果、ドイツのカメラメーカーであったエルンスト・ライツのパテントが無効になり、完全なバルナックライカのコピーモデルのLeotax Camera Special DIIが発表されてから約3年後の1950年に発表されたカメラがLeotax Camera DIVです。
ライカコピーとして高い評価を得ていたLeotax Camera Special DIIIの後継機にあたるモデルになります。
ボディは従来モデルと同様に真鍮製で、高速域のシャッタースピードも本家に比べると低速ですが、ファインダーの倍率が従来の等倍から本家のライカIIIと並び1.5倍になったことが特徴です。また、このモデルより型式名が本体に刻印されなくなったために、識別が非常に困難になってしまったという、あまり喜ばしくない特徴も持ち合わせています。
レンズは東京光学製のシムラー50mm F3.5または、4群7枚のゾナー・ガウス折衷型といわれる、シムラー50mm F1.5を採用しています。
このシムラー50mm F1.5は折衷型といわれているとおり、前群がゾナー型、後群がガウス型という独自の設計の非常に珍しいレンズです。
Leotax Camera DIVや、その後に発表されたLeotax Sまでのレオタックスのカメラは大量生産方式ではなく、ひとつひとつ職人の手によって丁寧に作られていたため部品の精度も非常に高く精巧に作られています。
その精緻なまでの作りは職人のこだわりとともに、日本の古き良き時代を彷彿とさせる工業製品の域を超えた存在であるといえます。