1952年、レオタックスがまだ合資会社昭和光学精機という会社名であった頃に発表されたカメラが、Leotax Camera Leotax Sです。
ライカIII aの完全なコピーモデルであるレオタックスDIVをさらに改良したカメラで、国産のバルナックライカのコピーモデルの最高峰として当時のニッカと人気を二分していました。
その最大の特徴が、エレクトロフラッシュなどの各種アクセサリーを使用する為のシンクロ接点を装備し、前面に2つのドイツコネクターを設けている点です。
ボディはプレスのものを使用しており、この頃は1台のカメラにつき最初から最後まで、ひとりの職人が組み立てていたため、非常に丁寧な作りになっています。
そして、カメラを組み立てる際に、その職人たちは皆、各々に自分が作ったカメラの目立たない場所に自分のサインを入れていたという逸話もあるほど、そのひとつのカメラに対して高い愛情を注いでいました。
このLeotax S以降のカメラでは、ボディがダイキャスト製になり、製造工程も時代の流れとともに、ひとつひとつ手で組み立てる方式から流れ作業に変わっていってしまいます。
職人がひとつひとつ丁寧に細部にまでこだわって作り上げた渾身のカメラともいえるこのLeotax Sは、現在の中古市場においても希少でなかなか巡り会うことができず、高値で取り引きされている名機のひとつです。