東京光学機械(現 TOPCON)は1932年創業されその歴史は古く、当時は「海のニッコー(日本光学工業)」「陸のトーコー(東京光学機械)」と呼ばれていました。
軍の関与から創業され、かなりの後ろ盾があったものと言われています。
現在のTOPCONは、測量、GPS製品、眼科向け医療機器を中心とした総合精密機器メーカーとして開発、販売に力を入れています。
もともとは軍需目的の光学レンズを生産するメーカーでしたが、民間用のカメラ、レンズにも意外と早い段階で自社設計、製造していました。
戦後多くのカメラメーカーが技術を向上する中で、TOPCONは戦前から一目置かれていた大手光学メーカーの実力を発揮し、多くのカメラファンを魅了してきました。
一眼レフ用TOPCONレンズの中で最もシビアな描写が求められたのが、標準レンズでした。
中でも有名なのが「RE-AUTO-TOPCON 58mm F1.4」で、このレンズの構成は5群7枚のガウス型で、後玉の口径がマウント部の関係上大きくすることができず、後群のレンズはネジ止めではなくカシメで固定されています。
後玉を大きくすることができなかったことを補うために、前玉はF値1.4にしては異様なほど大きい前玉となっており、かなりの迫力があります。
描写は、開放絞りにするとフレアの影響からボケたようになり、これはこれでクセのあるボケ味として魅力があります。
また、F値を2にした途端に描写は一気にシャキッとした印象になるところなど、撮り手によってさまざまな描写をみせる特徴があるレンズとなっています。