1953年に発売されたTAKUMAR 83mm F1.9は名品として知られており、当時としては斬新な設計のレンズです。
1940年代前半において主流だったゾナータイプは、3枚6群か、3群7枚構成でしたが、本レンズの構成は4群7枚構成となっています。
特筆すべきは、2群目が3枚張りになっている所で、当時の技術力から考えれば驚きを禁じ得ません。
その秘密はバルサムと言う粘度の高いの液体を使用して、3枚の分厚いガラスを接着しているのです。
ゾナータイプの利点として小型な事が上げられますが、本製品もレンズが小さく持ち歩きがしやすくなっています。
焦点距離が83mmと短いため、画角は広い範囲を撮る事ができ、開放絞り値が1.9とシリーズの中では低い方なので、撮影された写真はより明るく映し出せます。
M42スクリューマウントのオールドレンズのため、PENTAXのねじ込み式マウント採用カメラ以外で使用するならマウントアダプターとミラーレス一眼を組み合わせれば撮影が可能になります。
特殊な構造をしたレンズだけに、生産コストが高く、生産数が非常に限られています。
TAKUMARシリーズは初代アサヒペンタックス用レンズとしてリリースされた物で、残念ながらボディとの連動機構はありません。
本製品も事前に設定された絞り値に合わせる、プリセット絞りになっています。
そのため、MFになれていない方には、少々ハードルが高いかもしれませんが挑戦する価値のある逸品です。