Sonnar C 250mm F5.6 superachromat はハッセルブラッドC型の望遠レンズです。
このレンズが生まれた背景は、当時アポロ計画で月面写真を撮影する必要があったアメリカのNASAによる正式な依頼からでした。
実際、星条旗が月になびく歴史的な1枚の写真は、このレンズによって誕生したものです。
この250mmの望遠レンズは、ハッセルブラッドが6×6中判カメラのため、実際には35mm換算で計算すると136mm相当になります。
レンズは決して明るくはありませんが、ピントの捉えやすさや実際の写真の仕上がりは、Sonnar独特の柔らかなニュアンスの描写を実現してくれます。
風景写真を撮るにはもってこいのレンズです。
またCarl Zeissの望遠レンズだからこその圧縮効果があり、それによって遠近感が縮まり、手前の被写体と遠くの被写体の距離感が異なります。
これは望遠レンズでしか味わえない醍醐味です。
唯一、レンズの特性上、焦点距離が長くなることで手ぶれが発生しやすくなります。
例えば、曇りの日で光量が少ない場合、シャッタースピードが遅くなることもあり、標準レンズのような小回りが利く操作性は持ち合わせていません。
とはいえ一般ユーザーにとって、今でも中古市場で手に入れることができる最高の望遠レンズであり、そのレンズの歴史や背景、見た目のクラシックさと合わせて、ぜひ手に入れたい1本といえるはずです。