
Goerzは、1886年にドイツで設立されたカメラ・レンズメーカーです。
オーストリア支社、アメリカ支社と商圏を広げながらも、ドイツ本社は1962年にツァイス・イコン社に、アメリカ支社は1972年にシュナイダーにそれぞれ合併され、現在は中古品のみの流通となっています。
代表的なレンズは、ダゴールという大判用単焦点です。
その名称は「ドッペルアナスチグマート・ゲルツ」の略とされています。
ドッペルアナスチグマートとは、対称型のレンズ構成で球面収差、湾曲、コマ収差などあらゆる収差が解消された状況を指します。
現代のレンズでこそ当たり前の技術ですが、当時の技術力としては最高峰の品質を実現していたといえるでしょう。
ダゴールの進化形といえるレンズが、ドグマーです。
空気レンズと呼ばれ、ガラスの間の空気層を利用した構造となっています。
開放に近い設定だと軟調描写となり、柔らかな光あふれる写真が生まれます。
絞るとシャープなピント表現となるいっぽう、コントラストやボケは滑らかで温かみのある描写となります。
空気感をとらえることのできるレンズとして、今もなお人気の高い逸品です。