往年の名レンズと呼ばれるUltronは、本来ならCarl Zeissのレンズではありません。
歴史を辿ると、世界で初めてオペラグラスを販売したフォクトレンダーの写真レンズ群になります。
フォクトレンダーは経営不振になると、Carl Zeissに吸収合併されたことで、多くのレンズ群がCarl Zeissのロゴを付けてリリースされることになりました。
Ultron 50mm F1.8 M42はその1つになります。
Ultron 50mm F1.8 M42のレンズ構成は6群7枚で、フォーカスはMF。
焦点距離は50mmとなっており標準レンズです。
ほとんど肉眼で見るのと同じ光景を撮影するため、自然な光景に仕上がります。
レンズの特徴は、一枚目のガラスが凸型ではなく、凹型になっている所です。
見た目からでも中心部がえぐれているのがよく分かります。
凹レンズを一枚目に持ってきているせいか、中心部分を鮮やかに仕上げ、周りをぼやけさせるという独特な雰囲気の写真を生みだします。
M42マウントを採用しており、イカレックス35TMやイカレックス35STM、あるいは後継機のフォクトレンダーVSLに対応しています。
カメラレンズは凸レンズと凹レンズを組み合わせていますが、凹レンズを先頭に置いているレンズは貴重です。
Carl Zeiss に吸収された後で、Ultronという名前が使われたレンズはこれだけなので、歴史的な意味でも貴重です。