2010年に発売されたPlanar T* 85mm F1.4 ZF.2はニコンFマウントに対応したカールツァイスレンズです。
このレンズもカールツァイスレンズの銘は入っていますが、日本でコシナがOEM生産したレンズで、日本製のツァイスレンズということになります。
このレンズもAF全盛の時代に敢えてマニュアルフォーカスの形でリリースされたレンズです。
ニコンFマウント用でマニュアルフォーカスのツァイスレンズでは、同じ焦点距離のPlanar T* 85mm F1.4 ZFがあります。
こちらの型番はPlanar T* 85mm F1.4 ZF.2と「2」という数字で区別されていますが、これはニコンのカメラならではの理由があってリリースされたレンズです。
ニコンのデジタル一眼は2006年以降の一部機種でボディ内のAFモーターが廃止されています。
これによってレンズ側にAFモーターとCPUを積んだレンズを使わないとレンズが機能しないという事態が起こりました。
Planar T* 85mm F1.4 ZFはこれより前にリリースされたレンズなので、マニュアルフォーカスながらも距離計などが使えるようになっていましたが、2006年以降のカメラでは機能しなくなってしまいました。
これを受けて作られたのがPlanar T* 85mm F1.4 ZF.2で、ボディにAFモーターを積んでいないカメラでも使えるように、レンズ側にCPUを載せてカメラとマウントを介して距離計などが作動するように変更されたものです。
写りなどはPlanar T* 85mm F1.4 ZFとまったく変わらないので、マウント変更に伴うモデルチェンジレンズとなります。
こういった変化も電子制御が進んだデジタル一眼でこそ起きる事態ではありますが、日本製のツァイスレンズということもあって、うまく変更に対応して製品をリリースできた典型的な例だといえるでしょう。