Distagon 35mm F1.4 HFT(QBM)は、ドイツの老舗光学機器メーカーのカール・ツァイスが発売したMFのディスタゴンタイプの広角レンズです。
マウントシステムは、QBMマウントでローライフレックスSL35用のマウントですが、マウントアダプターを使用することで、マイクロフォーサーズマウントを採用しているオリンパスやパナソニックなどのカメラでも使用することができます。
絞り羽根の枚数が3枚と少なく、絞ると光源が三角形のボケになってしまう三角絞りとなっているため、基本的には開放側での使用が前提となります。
これは当時、海外ではボケという概念が存在していなかったために、このような構造になったと言われています。
しかし、このカメラの特徴でもある、ローライ独自のコーティングのHFTコーティングは非常に素晴らしく、正面から強い光を受けてもほとんど反射のないクリアな描写が可能です。
そしてその描写は、繊細な中にも柔らかさを兼ね備えた、オールドレンズらしい独特の魅力があります。
外観は同等の開放値を持ったほかのレンズと比べると、かなり大きい部類に入りますが、その大きな外観もこのレンズの魅力の一つと言えます。
F1.4という明るさと、HFTコーティングによる優れた描写が魅力のDistagon 35mm F1.4 HFT(QBM)は、ツァイスのオールドレンズとして今でも高い評価を得ているレンズです。