2000年に発表されたContax N1は、京セラから発表されたオートフォーカス採用の35mm判フィルム一眼レフのフラッグシップモデルです。
オートフォーカスを意識し、今まで京セラが発表してきたContax一眼レフから大きな進化を遂げています。
しかし、このNシリーズは機能的な躍進を果たすとともに、京セラのContaxブランドに終焉をもたらしたカメラでもあります。
このカメラの最大の特徴が、新に採用された新しいマウントシステムです。
従来のマウントシステムから口径を広げて完全な電子制御化を行ったNマウントシステムは、デジタル一眼レフの展開を見据えて開発されており、35mmフルサイズのセンサーを採用することで、最高の光学性能を追求しています。
しかし、これによって従来のレンズとのマウントの互換性がなくなってしまいました。
同時期に発表された、コンタックス645用のレンズはかろうじてアダプターを介して利用することが可能でしたが、それ以前のカール・ツァイスのレンズ資産を使う事ができなくなってしまったことは大きなマイナスでした。
従来のコンセプトを覆す革新的なカメラとして京セラより送り出されたContax N1ですが、オートフォーカスへの対応が他社に比べて出遅れたことや、従来のレンズ資産が利用できなくなったことなどにより、多くのユーザーの失望を買うことになってしまいます。
その結果、最終的に京セラの一眼レフから撤退を招く原因となってしまいました。
終焉は残念な末路ではありましたが、現在の中古フィルムカメラブームではそんな背景も含めて魅力ともされ、カメラ自体の性能も改めて再評価されています。