多くのマニュアルフォーカスの一眼レフカメラがオートフォーカスに移行していった1990年代。
オートフォーカス全盛期ともいえる1994年に京セラから発表されたカメラがContax AXです。
Contaxの魅力といえば、最高の描写力で知られるツァイスレンズが使用できることです。
しかし、従来のレンズはマニュアルフォーカス専用のため、オートフォーカスには対応していませんでした。
そのマニュアルフォーカスのレンズ資産でオートフォーカスを利用可能にするという、通常では考えられない機能を備えたカメラとして発表当時話題になったカメラです。
その最大の特徴が、先のマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカスで利用できるという点です。
これは、レンズを動かすのではなく、フィルム面を前後させることでフォーカシングを行うという非常に珍しいものです。
しかし、その機能のためにボディの厚さは増してしまい、時に辞書と評されるほどでした。
また、当時の一眼レフでは常識であったフローティングに対応していないこともあり、その評価はいまいちのものでした。
すべてのマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカスに対応させるという斬新な発想で話題になったContax AXですが、時代の波に逆らうことはできず、京セラの一眼レフ撤退により消えていってしまった不遇ともいえるカメラです。