HANZA Canonは精機光学研究所(現:キヤノン株式会社)から発売された第一号機のカメラです。
国産初となる35ミリフォーカルプレーンシャッター付きカメラで、1935年末から約3年間で1000台ほど製造されたそうですが、その後第二次世界大戦が開戦したため現存しているものは極少数となっています。
当時既に国内最大の工学メーカーとして地位を確立していた日本光学工業(現:株式会社ニコン)が軍需中心の体制から民生品への進出を計画していた中で協力を仰ぎ、共に絶好のタイミングで共同開発に至ったという珍しい製品でもあります。
というのも、市場にカメラを投入すべく試行錯誤を繰り返していた精機光学研究所はレンズや距離計などの調達が困難だったため、試作機である「KWANON=カンノン」を世に送り出せずにいました。
そこで、ファインダーカバーやボディーの組み立てに関しては精機光学研究所が行い、レンズや距離計などの光学系を日本光学工業が担当し造られました。
また、「HANZA=ハンザ」の銘は販売経路を持てていなかった精機光学研究所が、販売総代理店として近江屋写真用品株式会社へ委託した際、その商標名を契約上記載したため、HANZA Canonとなりました。