アルコ写真工業 Arco 35 は、記念すべき同社初のカメラとして1953年に販売が開始されたモデルです。
連動距離計式ファインダーを搭載し、異例の最短撮影距離35cmを実現した独創的なカメラとしても知られています。
まるでレチナのような蛇腹繰り出しが印象深い折り畳み式カメラに仕上がっています。
内蔵ファインダーにパララックス補正機能は持ち合わせていないものの、外付けのパララック補正ファインダーによって対応する工夫がなされています。
フィルム送りは、ノブ式巻き上げ/巻き戻し方式で、シャッターはセイコーシャラピッドを採用。
レンズは、自社でデザインしたコリナー50mmF2.8の3群5枚構成となっています。
これは、最前群が3枚貼り合わせというユニークな設計となっていて、今でもなかなかお目にかかることができません。
また、レンズ周りの独特なスクエアなカバーが印象的で、これが撮影時の高い安定感につながっています。
この時代のカメラらしく、シルバーを基調とした取っ手部分にレザー系の素材を使用していて、ラグジュアリー感があるのも良いですね。
このような独創的なカメラは信頼性が気になるところですが、今でも現役で使える個体も多くあり、メーカーとして初のモデルとは思えないほど実用性の高いカメラといえるでしょう。