OLYMPUS PEN Fは1963年に発売された縦横比4:3のハーフサイズ一眼レフカメラです。
PEN FシリーズとしてF・FT・FVの三機種を展開しました。
シリーズ初期モデルである PEN Fは数少ないハーフサイズ一眼レフカメラの中でも特に優れた機種として広く普及した名機です。
ハーフサイズカメラとは、通常の32mmの横長のフィルムを縦半分にして縦長の写真が撮れるカメラです。
1960年代当時ではフィルムも高価デザインあったため枚数が2倍に撮れるカメラは重宝され、1961年頃に発売された安価なハーフサイズカメラPENが流行したことを皮切りに更に進化したハーフサイズ判の一眼レフのPEN Fが誕生しました。
マウントはPEN Fマウントのレンズ交換式で、国産レンズの銘玉であるZuikoのラインナップは焦点距離20mmから800mmまで豊富にあり、納得の美しい描写です。
マウントアダプターを介すれば他社レンズも装着可能な点も喜ばれました。
デザインもトイカメラの名機、GIZMON HALF Dを踏襲したような可愛さと、欧風でスタイリッシュな点も魅力です。
コンパクトな筐体ですが決してチープではなく、性能も本格的な独自の機構を備えています。
それは、一般的な一眼レフの上下に動く横向きのミラーの構造を、縦に向けて横に開閉するといった構造にすることでフィルムサイズにあった無駄のない動きで光を送れるといった点。
また、一般的な一眼レフの上部に突き出たペンタリズムがなく、ミラーに合わせてポロプリズムという像を投影するファインダーを使い上部をフラットにすることができました。
シャッターは横走布幕式フォーカルプレーンシャッターが一般的でしたが、ミラーやプリズムに合わせたロータリー式フォーカルプレーンシャッターを開発しました。
半円状のシャッター膜に強度の高いチタンを用いて幕を回転させる設計で、1秒~1/500秒の速度に対応しました。
後続の露出計がついているモデルも人気ですが、開発者の米谷氏による独特で精緻な設計が見事なまでに詰め込まれたPEN Fは一時代の歴史に残る名機です。