1997年9月に発売された「AI AF Zoom Micro NIKKOR ED 70-180mm F4.5-5.6D」は世界で初めてズーム化されたマクロで、しかもオートフォーカスというレンズです。
最大撮影倍率は70mmで1/3.2倍、180mmで1/1.32倍でとなっています。
イメージがわきにくければ、「70mmでクオーターマクロよりは大きい。180mmでは等倍マクロよりはやや小さい」と考えればいいでしょう。
これはレンズを交換しなくても、撮影倍率が変えられるということでもあります。
しかもズーミングをしてもピントがずれることもないのは、マニュアルフォーカスで撮るときに特にありがたみを感じるでしょう。
さらには、レンズを繰り出すことでの露出倍数もかかりません。
複雑な機構だけに、14群18枚ものレンズが使われています。
そこに「ニコン・スーパーインテグレーテッド・コーティング」を施し、EDレンズも1枚使うことで、切れや発色のよさを確保しています。
画期的なレンズだったのは間違いのないところです。
このレンズ設計者には、一般社団法人「日本光学会」光設計研究グループが主催する「第1回光設計賞」のなかでの最高位である「光設計大賞」が授与されました。
ただし、Nikonが期待するほどには売れなかったようで、後継モデルもないままに2005年には生産が打ち切られました。
しかし、決して多くはないとはいえ、このレンズの便利さ・写りのよさを理解し愛用しているコアなユーザーもいます。
もともと販売された数が少なかった上に、持っている人はなかなか手放さない為、市場で見かけた際にはぜひ手に入れたいレンズです。