Nikonはオートフォーカス投入当初、カメラボディー内臓のモーターから軸を通してレンズ側に動力を伝えるボディー内モーター式を採用しました。
レンズ1本ごとのモーターが不要になる分、複数のレンズを持った場合にコストダウンになります。
その半面、レンズごとに最適のモーターを選べません。
特にピント合わせのための駆動部が大きくなる望遠レンズ・大口径レンズになるほど不利でした。
一方、ライバルのCanonは最初からレンズ内モーター式でした。
合焦点スピードで大差を付けられたNikonが初めて製品化したレンズ内モーター式のレンズのシリーズが「AI AF-I」です。
動力には永久磁石を使ったコアレスモーターが使われています。
1995年11月発売のこの「AI AF-I NIKKOR ED 500mm F4D」を含め、300ミリ以上の大口径レンズ4本に採用されました。
現行製品が採用する、SWM(超音波モーター)によるレンズ内モーター式に比べると合焦点スピードが遅いのは否定できません。
しかし、これでようやく実用レベルに達したとはいえます。
しかも、F4、F90といったフィルム時代のボディーから現行のデジタルカメラまでオートフォーカスは問題なく作動します。
また、もともと報道などプロ用に開発されたものなので、マニュアルフォーカスでの操作感は非常にレベルが高く、使うほどに自分の意のままになるでしょう。
500mm・F4というスペックのレンズは、野鳥・鉄道・モータースポーツの撮影に使うと、これまでとはまったく違うレベルの写真が撮れる可能性があります。
とはいえ、現行商品ではアマチュアにはなかなか手の届かない値段です。
中古だからこそ購入の対象にできるレンズでしょう。