AI AF NIKKOR 85mm F1.4D IFは1995年に発売された、ニコンFマウント用のレンズです。
20年以上前に発売されたレンズで、すでにラインナップから外れたレンズではありますが、ウェブカタログではデジタル時代に入ってから呼称されている「FXフォーマット」の文字も見えるので、比較的新しいレンズだと思わせるところがあります。
このレンズはニッコールレンズを語る上では欠かせない人物、大下孝一氏が設計したレンズとしても有名で、中望遠のポートレートレンズの傑作ともいわれている1本です。
レンズ自体は当時のDシリーズの1本として登場したもので、Dシリーズの特徴であるピントリングの部分に距離エンコーダーを内蔵し、マウントを介してボディに撮影距離情報を送ることができます。
型番の最後に「IF」と付いていますが、これは鏡筒に配置されたレンズのうち、中間部分に配置されたレンズだけを使ってピント合わせをするという機構を持ったレンズであるということを表しています。
これによって、主にAFレンズでは合焦速度の高速化を図ることができます。
AI AF NIKKOR 85mm F1.4D IFも85㎜ながらF1.4と非常に明るいレンズになっているので、絞り開放では被写界深度が非常に浅く、ピント合わせに苦労するレンズではあります。
一方で美しい円形絞りを搭載していることや、明るいレンズ故の美しいボケ味などが楽しめるようになっています。
隠れた銘玉ともいえるAI AF NIKKOR 85mm F1.4D IFですが、ベストセラーになったこともあって玉数が多いせいか、中古価格は割と手頃でコストパフォーマンスも優秀です。
こちらもデジタル専用レンズで似たようなものがありますが、フィルム時代の銘玉を試すという意味で大いに楽しめるでしょう。