Kern Arau社の歴史は古く、1930年代から主に映像カメラ用のレンズを開発、販売していたスイスの光学メーカーです。
映像カメラ界では有名で、ボレックスという8mm/16mmカメラ用にレンズを供給していました。
スチルカメラ用に開発されたレンズの一つに、スイス製のアルパカメラに標準レンズとしてセットされていた50mmレンズがあります。
同社が提供したswitar 50mmには大きく分けて3つのモデルに分けることができます。
まず、初期モデルのkern seitar 50mm F1.8は1951年に発売されました。
次に1958年に28cmまでの接写が可能になった kern switar 50mm F1.8が発売。
1968年には、コーティングや光学設計をアップデートした、 kern macro switar 50mm F1.9が発売されました。
前期の2モデルは5群7枚のレンズ構成であったのに対し、後期に発表されたされたモデルは5群8枚の構成と、2群目にレンズが1枚追加された構成となりました。
ちなみに、kern社がスチルカメラ用のレンズとして発売したのはこのシリーズのみです。
描写はレトロレンズファンを魅了する独特の味。
ボケ味はまるで望遠レンズのボケを見ているかのような柔らかくなだらかです。
ピント部はシネレンズ由来の高い解像度が見られ、そこから描かれる独特な立体感はこのレンズの大きな特長です。
マクロレンズでないものの、近距離で最高のパフォーマンスを発揮するのも大きな魅力のひとつです。