
1994年に京セラより発売されたHologon T* 16mm F8は、数あるカール・ツァイスのレンズの中でもハイエンドに位置られる超広角単焦点レンズです。
このレンズはコンタックスG1のために開発されたレンズで、G1をはじめとするコンタックスのGシリーズで使用できます。
Gシリーズレンズはほぼすべてが日本国内で製造されていましたが、このHologon T* 16mm F8だけはドイツで製造されていました。
レンズ構成は3群5枚のMF専用で、最短撮影距離は0.3m、開放F値はF8固定とそれほど特筆する性能ではなく、むしろ暗いレンズとして扱われる性能ですが、このレンズの素晴らしい点はそのような数値には表れない部分に存在します。
その最大の特徴が、超広角レンズでありながら対称型のレンズであるため、きわめて収差の少ない描写が可能なことです。
その歪みのない描写力は多くの広角レンズの中でも唯一無二のもので、ほかのレンズとは一線を画しています。
そして重量が120gという超軽量で、コンパクトな点もこのレンズの魅力の一つです。
小さな本体に最高峰の技術を詰め込んだHologon T* 16mm F8は、数多くのオールドレンズの中でも頂点に位置づけられるレンズです。
そして現在ではミラーレス一眼やマウントアダプターの登場によって人気を集めるようになり、中古市場でも非常に高値で取引されているレンズです。