Canon VTはライカコピーといわれたカメラから脱却すべく、1956年にオリジナルレンジファインダー機の最高級品としてキヤノンから発売されたカメラです。
位置づけとしてはIV型シリーズの後継機種となります。
発売当初の公務員の初任給が8,700円と言われていた時代で、50mmF1.2との組み合わせで115,500円、50mmF1.8との組み合わせで82,000円と大変高価なものでした。
それまでのキヤノン製品には底部落とし込みによるフィルム装填が採用されていましたが、当機種には初めてとなる裏蓋開閉式でのフィルム装填を採用しています。
また、機能面での大きな特徴としてはボディ底部から出るトリガーレバーをスライドさせることでフィルムを一気に巻き上げることができるため、連続での撮影に長けた造りでもあった事にあります。
余談ではありますが、VTのTはTriggerの頭文字から来ていたりもします。
もちろん、トップのノブでも巻き上げは可能です。
デザインは直線的で角ばったデザインを取り入れていたため、当初最も評価されていたライカM3の丸みを帯びたフォルムと差別化を図ったことで、当時のカメラ界に圧倒的なインパクトを残しました。