Canonが長い年月と膨大な開発費を投じて1971年3月に生み出したマニュアルフォーカス一眼レフカメラ『F-1』
製造から10年間はフルモデルチェンジをしないというコンセプトのもとに誕生したカメラです。
しかし、いくつかの改良点を見いだしたCanonではF-1の発売から5年後の1976年にはマイナーチェンジを行い、その後期型として知られているのが『F-1N』です。
ただ、F-1Nは通称であるため、ボディの表記は後期型であってもF-1の名称が使用されています。
F-1Nで目指したのは、プロカメラマンの要望をカメラ作りに取り入れるといった点であるため、F-1Nではシステムそのものを改良することはありませんでした。
たとえば、フィルムの巻き上げ角度を小さくすることで、シャッターチャージにかかる時間の短縮を図った点。
ボディの下部にモータードライブやワインダーを装着できるようになり、連写や自動送りなどにも対応しました。
また、巻き上げやすいよう、巻き上げレバーに指当てもつけられ、機能性が高められています。
そのほかにも、露出計の感度も上げられて使いやすく生まれ変わりました。
レンズはマウントの接合部分はR・FLレンズと共用ですが、F-1では自動絞りFLレンズでしたが開放測光方式に対応したFDレンズに変更し、鏡胴の設計や細かな機構を改良し自動露出に備えての設計が組み込まれました。
シャッター膜には金属(チタン)が採用され、1/2000秒まで速度も向上し、より信頼性の高い動作を可能としています。
ファインダーもアイレベル式のTTL開放測光方式を標準としつつも、ウェストレベル・ファインダー、スピードファインダー、EEファインダー、低照度測光用ブースターTファインダー等をオプションとして交換できるようになりました。
大きな変更は行わなかったものの使い手の気持ちに寄り添うことで使用感を向上させたF-1Nは、前期型と比べても使いやすく人気の一台です。