
1996年11月発売のいわゆる「サンニッパ」で、用途の代表はスポーツ撮影でしょう。
特に野球の場合、やや狭めの球場ならば内野カメラ席から打者を撮るのはこの「AI AF-S NIKKOR ED 300mm F2.8D IF」がちょうどいい焦点距離です。
開放F2.8はナイターでも高速シャッターが切れます。
さらには、テレコンバーターを使うときのメリットも見逃せません。
焦点距離が1.4倍になるTC-14Eを挟んでもF4、2倍になるTC-20EでもF5.6と、多くの場面で実用に耐えます。
Nikonのサンニッパでレンズ内モーターを採用したのは、1992年9月発売の「AI AF-I ED Nikkor 300mm F2.8D (IF)」が最初でした。
しかし、Nikon独自のSWM(Silent Wave Motor:超音波モーター)は「AI AF-S」からです。
オートフォーカスの性能では長らくライバルのCanonが先行していましたが、これでようやく太刀打ちできるようになりました。
超ロングセラーのF3を別にすれば、この当時のボディーの現行商品でプロ用は発売されたばかりのF5でした。
このF5以降のボディーと組み合わせることで、マニュアル重視から抜けきれなかったNikonの開発陣が、ここでようやくオートフォーカスでも高い技術力を見せたと実感できます。
といっても、指にしっくりとなじみ、適度な粘り気のあるピントリングも健在です。
また、8群11枚のレンズの内、3枚にEDレンズを使うことで諸収差も徹底的に補正され、鮮明な写りを可能にしました。
Dひとけた代・D800代といったFXフォーマット、D500代・D7000代などのDXフォーマットといった現在のデジタルカメラでも、オートフォーカスは快適に作動します。
フィルム時代のマニュアルフォーカスしか使えないものから最新のデジタルカメラまでどんなボディーと組み合わせても実力を発揮するレンズです。